ジェネリック医薬品 ジェネリック医薬品のメリット |  ジェネリック医薬品の問題点 |
 当院の基本方針

ジェネリック医薬品について

ジェネリック医薬品 については最近TVのCM で流れたり、新聞などで特集されたりしているので、名前をご存知の方は増えていると思います。 でも、ジェネリックって聞いたことはあるけど詳しくは知らないという方が多いのではないでしょうか? そこで、少し基本的なところからおさらいしてみたいと思ってまとめてみました。 保険制度、薬価制度から医療経済とも絡むかなり奥の深いテーマではありますが、ここでは『ジェネリックってどんなもの?』という点を中心に問題点も含め、できるだけ客観的にまとめたつもりです。 そのため、少し長くなりましたが御一読ください。


ジェネリック医薬品

後発医薬品というもので、最初に開発されたクスリ(有効成分)の特許期間が過ぎた後に別の製薬会社が作った同じ有効成分からなるクスリということにまとめられると思います。 もちろん、クスリですので厚生労働省の承認が必要です。 しかし、承認審査に必要となるデータは、最初に開発されたクスリ(先発品)に比べると極めて少なくなっています。 では、先発品と後発品ではどのように違うのかを次にまとめてみました。


新薬のできるまで

まずは、先発品の開発過程を見てみましょう。

  1. クスリ(有効成分=新物質)の候補を見つける基礎実験
  2. クスリ(有効成分=新物質)をさまざまな観点からさらに研究を重ねて候補を絞り込むとともに、吸収・分布・代謝・排泄から毒性試験などの動物実験(有効成分以外に添加物や剤型の最適化も含め)
  3. 治験開始(ヒトでの臨床試験のことです)
    • 第1相試験:健康な人(ボランティア)を対象に安全性を確認する試験
    • 第2相試験:少数の患者さんを対象に有効性、安全性と投与量などを調べる試験
    • 第3相試験:多数の患者さんを対象に有効性、安全性について既存薬との比較などを行う試験
  4. 厚生労働省へ承認申請
  5. 厚生労働省での審査を経て承認
  6. 新薬として販売
  7. 市販後調査
  8. 薬効再評価

このように、新薬の開発から実際に患者さんに投与できるまでには相当な年月と莫大な開発費用がかかります(1〜5の部分で、一説によれば、10年間150億円とも15年間200億円ともいわれます)。 当然、先発品メーカーは、特許を持っていますので承認・販売されてから一定期間は他のメーカーが同じ成分のクスリを作ることはできません。 また、発売後も市販後調査というものを行い有効性・安全性を検証しなくてはいけません(7と8)。


ジェネリック医薬品の登場

上で書きましたように先発品での有効性・安全性が確立し、また、特許期間が終了した時点で、他のメーカーが同一有効成分を含有した後発医薬品(ジェネリック)を製造することが認められます。 この時、後発品メーカーは、1〜3および7,8を省略することができます。 もちろん、厚生労働省へ申請して承認を得る必要はあります。 この時に必要となるデータは、「規格と試験方法」「安定性(加速試験)」「生物学的同等性(薬の溶け方、血液中の濃度など)」の資料であり、先発品に比べるといたってシンプルなものになっています。 考え方の基本は、同じ有効成分を持つ製剤で同じような血中濃度が得られるのであれば有効性も同じであろうという考えに基づくものと思います。よって、ジェネリック医薬品は安く仕上げることができるものと考えられます。 注意したいのは、有効性・安全性がジェネリック医薬品自身では試験されていないということです。 また、有効成分のみ同一ということで、薬剤に含まれる他の含有物(例えば安定化剤、吸収助剤等)は異なる場合が多いようです。


ジェネリック医薬品のメリット

これは、患者さん(国の医療費負担も)の経済的負担が少なくなるという点に尽きると思われます。 ただし、先発医薬品と同じ効果であることが前提となりますが。 いま、国民医療費の約2割が薬剤費といわれており、約6兆円にものぼります。 ジェネリックの価格が先発品の5割と仮定し、使用率も欧米並みの40〜50%になったと仮定すると国全体では1兆円強の節約効果が見込まれることになります。


ジェネリック医薬品の問題点

ジェネリックを作る製薬会社のなかには、安易に製造・販売の中止をするところや、販売ルートや配送体制上納品に時間を要し緊急時に対応できないところがあります。 また、ジェネリック医薬品は通常臨床試験や市販後調査を行なっていないので、ジェネリックを作る製薬会社は副作用に関する情報をもっておらず、また錠剤の無包装状態や粉砕後の安定性試験なども行なっていないこともあります。 このようにジェネリック医薬品の供給や情報に関しては少し不安が残るところです。
また、 先発医薬品とジェネリック医薬品で適応症が異なる場合があります。 これは先発品の中には後から適応症が追加承認されたものがあり、この場合もとからの適応症の特許が切れてジェネリックが製造・販売できるようになっても、後から追加承認された適応症はまだ特許期間中のため、ジェネリックはその適応症を取得することができないからです。
さらに、前にも書きましたが、ジェネリックに含まれる安定化剤やpH 調整剤などの添加物に関しては先発医薬品と同じである必要はないので異なる場合があります。 添加物が異なる場合の他剤との配合変化の違いやその成分にアレルギーがある場合などは注意が必要ですので、添加物が異なる場合があるということは十分に理解しておく必要があります。
そして、これは一部の話ではあろうと思いますが、「生物学的同等性(薬の溶け方、血液中の濃度など)」に疑問のあるジェネリック医薬品もあるという報告がなされていることです。 2005年12月7日付けの薬事日報の記事を転載しました。 なかなか一般の方の目に触れない情報ですが、こういうものもきちんと知っておいていただくことが大事だと考えています。

先発品と後発品で血中濃度に違い‐臨床薬理学会
ある薬物の先発医薬品と後発医薬品で薬物動態を調べたところ、製剤間で血中濃度に大きな個人差が見られたと、内田信也氏(静岡県立大学薬学部薬剤学)らのグループが別府で開かれた日本臨床薬理学会で発表した。 後発品の中には、最高血中濃度が先発品に比べて著しく低かった製剤もあった。

 後発品の承認申請には、溶出試験と生物学的同等性試験のデータが要求されている。 後発品の製品情報概要を基に検討すると、溶出試験・薬物動態試験では後発品と先発品で同様の結果を示すものの、薬物動態学的パラメータは各製品間で異なる場合があると指摘されている。 このため内田氏らは、ある薬物の先発品と複数の後発品について、ヒトにおける薬物動態を検討した。

 同じ投与条件の健康成人48例を対象に、ある薬物の先発品と後発品6製剤を使った2つの生物学的同等性試験が実施された。 その結果、先発品の薬物濃度曲線下面積(AUC)の割合を100%とすると、後発品のAUCは15〜147%、最高血中濃度(Cmax)は18〜148%と、先発品と後発品の薬物動態には大きな製剤間差の見られることが明らかになった。 特に同じ投与条件下でも、最高血中濃度が先発品の18%にしか満たない後発品もあった。

 わが国の品質再評価は、後発品メーカーが申請資料を作成すれば良いことになっているが、米国では第三者機関が同等性を検証しており、欧州では規制当局が申請資料を裏付けるためのテストを行うことができることになっている。 今回の検討結果を受けて内田氏らは、品質確保や信頼性向上のため、海外の現状も踏まえ、透明性の高い評価システムの構築が必要だと提言した。

この報告は、2つの大きな問題点を指摘しているのではないかと考えています。 1点目は、最高血中濃度が18%ということは、単純に言いますと先発品の5倍以上飲まないとダメなジェネリックも存在することになります。 また、その一方で先発品の約150%を示すジェネリックもあるということです。 そして、2点目ですが、このような差が一つの先発品に対して存在する複数のジェネリックの間で生じているということです。 そして、このような差があることは事前には分かりません。
このようなことがあると、処方する側も処方される側も不安を拭いきれませんので、内田先生の御提言のように、一刻も早く改善されることが望まれます。
また、第6回日本クリニカルパス学会(2005年12月)でもジェネリックが議論され、後藤伸之氏(福井大病院)は,ジェネリックの積極的利用を医療資源の有効活用という面で評価しつつ,品質・薬効面で課題が残ると指摘した。 ジェネリックを「先発品と同じ成分で,同じ効き目の医薬品で,先発品より安価な薬」と自信を持って説明できるよう,治療効果の同等性を報告する制度や毒性試験などの実施を求めたとの記録もあります。


ジェネリック医薬品に対する当院の基本方針

これまで見てきましたように、テレビCMなどとは裏腹に、完全に「先発品と同じ成分で,同じ効き目の医薬品で,先発品より安価な薬」とは言えない現状もあるようです。 しかし、メーカーや製剤を注意深く選べば(注)、上述のような問題はほとんど無くなるのではないかと考えられます(注:ひとつの先発品に対して複数のジェネリックがあり、メーカーも大手製薬メーカーの子会社から聞いたことの無いところまで玉石混交ですから)。
よって、患者さんの経済的負担軽減という観点からも当院は、 ジェネリック医薬品を処方することに基本的には賛成です。 基本的にと書きましたのは、種々の情報を調べた結果、お勧めできないものも出てくると思われますので。 また、【ジェネリック医薬品の登場】を読まれてお気付きになった方も多いかと思いますが、 最新のクスリにはジェネリックはありません。 したがって、患者さんの状態を考慮した結果、「全てをジェネリックで」との御希望に反し、「これだけは最新のクスリで」ということをお薦めする状況も出ることをご理解ください。 要するに、『適剤適所』が良いと考えています。



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